AI臭は語彙ではなくリズムに出る
投稿日:2026.07.14
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AI臭は語彙ではなくリズムに出る
禁止語リストを作り、テンプレ前置きを消し、箇条書きを減らす。ここまでやったのに、読み返すとまだ何かが引っかかる——その手がかりは語彙ではなく、文のリズムに強く現れる。文の長さがそろいすぎている「呼吸の均一さ」が、AI文章を機械的に見せる特徴として検出されたという実測結果が2026年7月に公開されました。
結論を先に言うと、語彙レベルの対策は必要ですが、それだけでは足りません。もう一段深いところにある「文長のばらつき」に手をつけない限り、AI臭さは残りやすいのです。
語彙レイヤの対策と、その限界
AI臭対策としてまず思いつくのは、語彙レベルの手当てです。「いかがでしたか」のような定型句を削る。「〜ではないでしょうか」といった婉曲表現を断定に変える。冒頭のテンプレ的な前置きを外し、意味のない太字強調や過剰な箇条書きを整理する。どれも有効な施策であり、私たちも日常的に行っています。
ところが、これらを全部やり切っても、文章がまだどこか機械的に読める。そういう場面に私たちは何度も遭遇してきました。理由は単純で、語彙レベルの手当ては「見えている症状」への対処にとどまるからです。もっと深いところに、語彙をいくら整えても触れない層があります。
実測が示した真因: 「文長のメリハリのなさ」
その深い層を実測で可視化したのが、Zennに公開されたCoji Mizoguchi氏の検証です。人間が書いた文章(青空文庫の随筆12本、note・Zenn・官公庁文書125本)と、AIが書いた文章(Claude系4モデル・GPT系3モデルに58種のお題を割り振った計406本)を比較した結果、AI文章に共通して見られたのは「文の長さがそろいすぎている」という特徴でした。著者自身の言葉を借りれば、「全部の文が平均56モーラ前後の似た長さで並んでいる」状態です。人間側のコーパスは随筆・ブログ・官公庁文書とジャンルが混在し、AI側は同一お題への生成文という条件が揃っている点で、両者は完全に同じ条件の比較ではありません。それでもなお繰り返し観測された差である、という前提でこの先を読み進めてください。
この「文長のメリハリのなさ」は、専門的にはburstiness(バースティネス)という指標で説明されます。人間の文章は短い文と長い文が波のように入り混じり、この振れ幅が大きいほどburstinessが高くなります。逆にAIが生成する文章は、文長が均質な範囲に集まりやすく、burstinessが低くなる傾向がある、とAI検出サービスの解説でも以前から説明されてきました。禁止語を含んでいなくても、この「波の無さ」だけで機械的な印象を読者に与えてしまうわけです。

先の検証では、7モデルを対象にした比較で、モデルごとの癖の出方にも差が見られました。GPT-5.6系のモデルは文長リズムの均質さが88〜95%という高い水準で検出された一方、Fable-5は(別の軸である)段落構造の均質さが0%だったと報告されています。測定している軸自体が違うため単純な優劣比較はできませんが、少なくとも「同じ『AIで書く』という行為でも、モデルによって出やすい特徴は同じではない」とは言えそうです。
なお、この検証はCoji Mizoguchi氏1人による実験的な取り組みであり、査読を経た学術研究ではありません。AI側のサンプル数は406本と一定の規模がありますが、burstinessという指標自体もヒューリスティック(経験則的な目安)であり、絶対的な尺度ではない点は押さえておく必要があります。
実務のレバー: レビューに「測れる指標」を一つ足す
この実測は実務にも使えます。「なんとなくAIっぽい」という主観的な違和感を、burstinessという数値に置き換えられるからです。私たちも日々AIで下書きを作り、複数の視点でレビューする体制を運用していますが、これまで「AI臭」の指摘は感覚的な指摘にとどまりがちでした。文長のばらつきという物差しを一つ足すだけで、「どこが」「どの程度」機械的かを具体的に指摘できます。
やり方の一つの仮説として、こう考えています。禁止語チェックリストの次の一手として、文の長さのばらつきを見る工程を足してみる。長い文が続いていたら間に短い断定文を挟む、逆に短文が並びすぎていたら一つを掘り下げて長くする。これで読者の「AI臭さ」の感じ方まで実際に変わるかどうかは、まだ検証していません。それでも、語彙レベルのチェックリストの隣に、リズムのチェックリストを試しに並べてみる価値はあると私たちは考えています。
ここで注意したいこと: 検出回避を目的化しない
一つだけ、強く釘を刺しておきたいことがあります。burstinessという数値を追いかけ始めると、「検出器を騙すために文長をいじる」という発想に横滑りしやすい。これは目的の取り違えです。
文の緩急は、本来は読者のためにあります。短い文で強調し、長い文で丁寧に説明する。読みやすさや強調のためにリズムを作るのであって、スコアを上げること自体を目的にしてはいけません。数値をハックするために意味もなく文を切ったり継いだりすれば、今度は「不自然に文長がバラついている」という、また別種の不自然さが生まれかねません。measure(測る)ことと、game(数値を狙う)ことは違います。
モデルによって癖が違う——「AI執筆」を一括りにしない
検出器を欺くための数値ハックを避けるべきだと分かると、次に見えてくるのは「そもそも『AIで書く』を一つの箱として扱わない」という視点です。先述のとおり、GPT-5.6系とFable-5では検出された特徴の出方(測定軸は異なるものの)がまったく違っていました。使うモデルによって、出やすい癖も直すべきポイントも変わります。
社内でAI活用の執筆・レビュー体制を組むなら、「使うモデルと用途に応じて工程を調整する」という前提を持っておく必要があります。全モデル共通の禁止語リストだけでなく、モデルごとの癖を踏まえたチェック項目を用意する余地があります。
まとめ: 語彙は入口、リズムは本丸
禁止語を消す。テンプレ前置きを外す。箇条書きを整理する。ここまでは語彙レイヤの対策であり、必要な作業です。しかし、それだけでAI臭が消えると考えるのは早計です。今回の実測が示した本丸は、文長のばらつき=リズムという、もう一段深い層に強く相関する tell でした。
語彙のチェックリストしか持っていないなら、次に足すべきはburstinessのような「測れるリズムの指標」です。ただし、それは読者に読みやすい文章を届けるための道具であって、検出を回避するための道具ではありません。この線引きを保てるかどうかが、AI活用と読みやすい文章の両立を分ける。それが私たちの立場です。
出典:
- Coji Mizoguchi「AI臭は語彙よりリズムに出る - 自然な日本語を書くAgent Skillと7モデル×406本の実測」Zenn, 2026-07-13. https://zenn.dev/coji/articles/natural-japanese-ai-smell-lint
- GPTZero「Perplexity and Burstiness: What is it?」https://gptzero.me/news/perplexity-and-burstiness-what-is-it/
- metric37「How AI Detection Works」https://metric37.com/blog/how-ai-detection-works
※ この記事は AI を使用しています。Leadeas が自社開発した AI エージェント基盤で下書きを作成し、人間のレビューを経て公開しています。AI ネイティブ開発会社として自社の技術をそのまま実演する目的で、この手法を用いています。(詳しくは AI 利用ポリシー)

